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2014年7月12日 (土)

第87話:【花火が消えた夜】~その1

★第86話はコチラ

拝啓  読者様へ

僕が今から書き記す内容は、日々の戯れ言を綴る日記でもないし、ましてや、通俗的な大衆小説でもない。すべてが、この日 ―― そう。僕の人生において、きっと消え失せることなく、強烈な記憶の断片として残るであろう、あの、2013年7月26日。その当日に起こったあらゆる不条理とも思える出来事を、克明に記した、いわば「記録」である。

もし、この「記録」が、親愛なる僕の読者様の元に向けて、発信されたとき ―― すなわち、それは、もう その事実を語る時が訪れたのだと、僕が己の、内なる呼びかけに応えた、証拠である。

読者の皆様は、どうか開眼して、この「記録」を読んで欲しい。
今から記すことが、真実なのである。限りなく純真で、汚れのない、私たちの関係なのである。

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私の名は、柊木董馬(ひいらぎとうま)と申します。
主に、作家業、文筆業で生計を立てていますが、居住地である静岡県御殿場市で、塾講師のアルバイト、及び、家庭教師のアルバイトもやっています。
以前は、塾の講師が、本業だったのですが、数年前に職場での折り合いが悪くなり、自己都合で退職をしました。(※このことについては、また後ほど詳しく書かせてもらいます)

私は、妻がいました。いました、と書くということは、つまり…それはすでに過去の話だからです。
妻は、他界しました。事故でした。
「死」とは、実にあっけないものです。一分、二分、三分、とじわじわとつぼみを開いていった桜の花が、十分咲きになった途端に、みるみると萎んでいき、やがて気付かぬうちに散ってしまうように、実に、さらっ、としています。「美しいものほど、はかない」とは、よく言ったものです。私の妻も、どの花にも負けず劣らずに、美しく、華やかな存在でした。

話を、現在(いま)に戻します。

すでに、この 私 が 描 い て い る 作 品ひりひりする恋」を、前回の第86話までお読み頂いた読者様のペースに合わせて、今からお話をさせて頂きます。もし、まだ未読の方が、この回(第87話)に目を通しているのであれば、申し訳ないですが、過去の「ひりひりする恋」を、ある程度通読なさってから、これから先の文章を読まれた方が良いのかな、と思います。無論、強制ではありませんのであしからず。

**********

2013年7月26日。土曜日。

□静岡県東部地方の当日の天気
 晴れ 時々 曇り 

□降水確率 20 / 30%

□最高(最低)気温 30度(24度)

この日は、花火大会の当日でした。花火大会は、いわゆる「夏祭り」の一環で行われ、26日と27日の、二日間に渡って数万発の花火が打ち上げられます。静岡県東部地方で開催される花火大会としては、規模も大きく、来場客数も、他の花火イベント比べて桁違いに多いことで有名です。

私は、睦月沙絵(むつきさえ:以後『沙絵』と表記)の友人である、綾野史佳(あやのふみか:以後『史佳』と表記)と共に、今回の「記録」の舞台である花火大会に出かけました。

史佳は、まだ高校一年生の女の子で、初めて彼女と会ったのは、沙絵が加入していたボランティアグループが行う奉仕活動でした。
…と、これは、あくまでも建前上の話で、実際はちょっと違います。

「ひりひりする恋」を既読の読者様には、もう十分に承知しているかと思われますが、私が史佳と初対面をしたのは、御殿場のアウトレットモールでした。
私が、GAP前の広場に設けられたベンチで一休みをしていると(そのときは、私は沙絵と一緒に買い物に来ていました)、突如として目の前に史佳が現れたのです。

…と、すでに綴っている内容を、またつらつらと述べるのも、時間の無駄かもしれませんね。重要な話は、やはり花火大会当日の話ですものね。すみません。どうも話が懐古的になってしまいます。

花火大会、当日の待ち合わせは、御殿場駅でした。
私は、自宅から徒歩で駅に向かいました。私が駅に到着したのは、待ち合わせ時間の十分ほど前でした。

それから、待ち合わせ時間ちょうどに、史佳は現れました。彼女は夏らしく、浴衣を着ていました。
私が、「やあ」と声をかけると、史佳は、少しだけ笑顔を作って、恥ずかしそうにうつむきました。

「先生」彼女が言いました。
私は「うん?」と聞き返しました。
彼女は言います。
今日で、ぜんぶ終わりにしましょうね

私は、このときはまだ、史佳の放った言葉の意味が分からずにいたのです。

 

(第88話へ続く)

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