2014年10月31日 (金)

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「ひりひりする恋」
作者:DAZE (静岡県御殿場市在住)
連載開始:2013年4月5日~2014年10月8日
ジャンル:恋愛小説

shineshineアクセス数 
65000HIT達成sign03sign03sign03
「無事に最終回を迎えることができました。永らくの応援、誠にありがとうございました」(DAZE)

※最終回(すべての謎が解き明かされます)
【ただいま、おかえり】~最終回

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★初めて読む方はコチラから(主要登場人物の紹介)
プロローグ【美緒】
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2014年10月 8日 (水)

【ただいま、おかえり】~最終回

★第91話はコチラ

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えーっと、ここでいいですか? もう書いちゃっていいんですかね? アタシが書くんですよね……って、そんなの当然ですよね。だってアタシしかいないんだもんね。ちゃんと本当のことをお話しできる“にんげん”って、アタシ、綾野史佳だけ。

こーなることは初めから分かっていたハズなのに、すっごい回りくどい書き方をしたもんだから、読んでる人たちを混乱させちゃった原因は……アタシとか、柊木先生とか、あとは……誰だっけ? 

あ、そうだ……睦月沙絵。あとは、赤星美緒、とかとか。

色んなヒトが、この物語のなかで、ごちゃごちゃ絡み合ってるもんだから、だから、過去とか未来とか現実とか虚構とか二次元と三次元とか、熟した柿を踏みつけてグチャってなったみたいに、食べようにも食べられず、秋の風味を楽しもうにも楽しめず、アッ! という間に冬になっちゃった、っていうか。とにかく壊しちゃいたいのよ、この世界。柊木董馬が作った、この世界。いらないいらないなーんにもいらなーーーーい。

 

 

閑話休題。てへっ。(綾野史佳 風)

 

 

 

 

 

どうして、アタシだけが語る権利があるのかというとね。それはね。アタシ以外のひとが、みーんな、この世に存在しないから。

え? どうしてって? 

だって、これ柊木先生が作ったセカイだからだよ。

あ、ちょっと待って。いっこだけミステイクが。

 

 

先生のね、奥さんはね、沙絵っていうの。睦月沙絵。うん。睦月は旧姓ね。

じゃあ、今まで、この物語に登場していた睦月沙絵は、何者なのかって?

あの沙絵はいないんだよ。ぜんぶ作り物。いないひと。いないいないバー。ベロベロ。

先生は、亡くなった奥さんのことが忘れられずに、勝手に自分が書いた小説に、奥さんを生きていると仮定して、登場させていたの。

それで、勝手にアタシらなんかと共演したお話をでっち上げ、それを読んで、一人でニコニコしてた、ってワケ。キモイしょ? あ、ちがうか(笑)

どうして奥さんが亡くなったのかは、聞いたことがないし、これからも聞くつもりはないよ。だから、真相は分からずにアタシの人生は終末を告げる。アーメン万歳。

奥さんの遺灰が入っている、って言い張ってる骨壺の中身はね、ただの砂。本当に、リアル砂。サンド。江ノ島、湘南のビーチから拝借した砂。サンド。固形物は貝殻。骨じゃない。奥さんじゃない。

あー! 騙された! ちっくしょー!

 

 

 

アタシにはね、最初から分かっていたんだ。

アタシはね、先生の書く小説のファンだったから。

先生が、ペンネームで小説を書いていたのは知っていて、アタシはその小説を、先生が書いたものだとは知らないフリして読んでいた。だって好きだったから。先生の小説。

先生と初めて会ったあと、少し親しくなって、それからすぐあとに、先生の小説のなかに、ワタシと同姓同名の女の子が登場するようになった。

よく読むと、年齢も容姿も、アタシにそっくり。超ビックリ。だね。うん。ビックリ。

先生は、まさかアタシが先生の書いた小説を読んでいるとは思わなかっただろうから安心していたんだと思う。だから、ほぼ個人情報の垂れ流し的なレベルでアタシのことを書いていたんだよ(笑) みんなも読んだよね? あれは正真正銘のアタシ。綾野史佳。

 

 

じゃあ、ここいらでオサライしてみよう。(親切なアタシ)

 

まず、この子。
睦月沙絵ちゃん。
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先生の奥さんだったひと。(故人)
物語のなかでは、先生に恋する女の子。実家は、大手の不動産屋。お嬢様だったみたい。生前は、介護福祉士をしていたみたい。もうとっくにお墓のなかにいて、今は安らかな眠りについています。
先生は、沙絵ちゃんのこと大好きだった。だから、せめて小説のなかだけでも、奥さんを生きたままの姿で登場させたかったんだと思うよ。切ないね。

 

 

じゃあ、次のひと。
赤星美緒ちゃん。
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大学生。異常な性癖な女の子。昔はエンコーみたいなことやってた。
美緒はいないよ。存在しない。
アタシはね……この子は柊木先生のいわゆる「負」の部分を描きたくて、それで造形された人物だと思う。モデルになった子がいるかもしれないけど、アタシには分からない。でも、もし実在したら、アタシは仲の良いお友だちになれたんじゃないかな、と思う。そう思うと、切ないね。やっぱ。

 

 

最後に、綾野史佳ちゃん。
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アタシ!

アタシは、今、これ書いてるひと!

だからいるよー! 生きてるよー! 実在するよー! 声を大にして言うよー! わーわーわーわー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

****************

 

董馬は、書きかけの原稿を仕上げようと、いつも通りにパソコンを起動させた。ワードを開き、文字の羅列が表示されるのを待った。

そして、上記の文章を見つけ、驚いた。
いつのまに書き加えたのだろうか。合い鍵を持たせたのをいいことに、董馬の書斎に侵入し、やりたい放題やっている。

すべて消去しようかな、と董馬は考えた。
しかし、念のため、一行目から読んでみたら、消す気は失せた。

すばらしい文章だった。
そして、面白い、と思った。

そうなのだ。

これがすべてなのだ。

これが現実なのだ。

 

董馬は、ゆっくりとキーボードを叩き始めた。

集中していると、右頬にひりひりとした痛みを感じた。

今朝、なかなか目覚めない董馬の頬を、アイツは思いきり、つねった。

もっと優しい起こし方はなかったのだろうか。それともわざとだろうか。

 

 

まぁいいか、と思う。

 

 

こういう愛され方も楽しい、と思う。

 

 

そのとき、玄関のドアが勢いよく開く音がした。

ただいまー、という声が聞こえる。

「おかえり」董馬は言う。

 

 

書斎に入ってきた。見ると、愉快そうな顔をしている。次の瞬間、「あ、見つかったか」と言い、悔しそうな表情をして、

 

綾野史佳風に書いてみた。えへ

 

と言って、逃げるように書斎から出て行った。

 

董馬は、自分で自分の頬をつねってみた。痛かった。パソコンに向き直ると、コーヒーをひとくち飲み、ふたたび小説を書き始めた。デジタル時計は【2014/10/8 22:30】を表示していた。
 

現実は止まらずに動いている。董馬は、楽しそうに微笑んだ。

 

(ひりひりする恋:完)

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